彼女は今年の4月に北海道から東京に出てきたばかりで、井ノ頭線沿いの某駅で一人暮らしをしていた。家はとても裕福で、彼女の父は祖父の代から続く店舗の経営者であった。今までの恋愛経験は3人。しかし、どれも長続きはしていなかった。元彼には自己中心的なセクばかりされ、そういう行為自体は嫌いでは無いが、現状は嫌気がさしている様子だった。さらにデートらしいデートをしたことがなく、もっぱら家でDVDを見たり、ゲームをしたり、そのような付き合いばかりだったという。
彼女は大人の恋愛を求めていた。個室に露天風呂が付いている温泉旅行、オープンテラスのある料理の美味しいフレンチレストランでのデート、あるいは夜景の綺麗な高層ビルでのイタリアン・ディナーに密かな憧れを抱いていた。
そして、それらは俺が容易に叶えることができるものばかりだ。
「ねぇ、もし旅行に行くとしたらどこ行きたい?」
俺は尋ねる。
「えーっと、、、温泉かな?」
彼女は、少し考えて答えた。
「それならいいところがあるよ。箱根の雪月花ってとこ。」
俺は各都道府県の観光地や施設、名勝等の知識が人並み以上にあった。説明をすると、彼女はとても興味ありげに話をうんうんと聞いていた。
「もしも、もっと仲良くなって、例えば付き合ったとしたら、一緒に行きたいね。」
俺は冗談っぽく言った。
「そうだね。」
彼女は笑いながら、そう返した。
会話を深めながら、彼女とのアポの口実を探していた。彼女は最近引っ越したばかりで、IKEAで買ったベッドすらまだ組み立てられずにいた。
これだ。
ある程度打ち解けたことを確認し、ちょうど偶然、終電で彼女の最寄りの駅に住む俺の友達の家に用があることを伝えた。もちろん、そんなものはあるわけ無いのだが。
「本当に偶然。こんな偶然って他に無い。あ、ちょうどよかった。ついでにベッドを組み立ててあげるよ。一人では大変でしょ。一緒にやろう。でも用事があるからすぐ俺は帰るけど。」
そう言いつつ、未だ俺に対する懐疑的な部分を払拭できないでいる彼女を、なんとか説得した。
「じゃあ、あんまり時間も無いし、すぐ向かうね。」
そう言いながら、勢いよく彼女の待つ街へ向かった。俺の家からは電車で5分程度で着く場所だった。
駅に降りると、彼女はほぼ部屋着で待っていてくれた。昼間会ったオシャレな彼女とは少しちがうけど、それはそれで新鮮な感じがした。そんな格好でも、彼女は充分魅力的だった。どことなく、乃木坂に居そうな雰囲気だった。
「迎えに来てくれてありがと。待った?」
俺は言った。全然、と笑顔で言う彼女を、素直に可愛いと思った。
「ごめんね、わざわざありがと。」
彼女は歩きながら言った。
俺は「頂きます」と言いそうになったが、必死に抑えた。
駅から1分ほど歩いたところに彼女のマンションはあった。
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3FO******
2024-11-30 19:36最高です。
美人で感じ方がエロい